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2010/10/09

瀬戸内国際芸術祭に行きました

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9月19日から22日にかけて、瀬戸内海の7つの島で行われている「瀬戸内国際芸術祭2010」を観に行ってきました。

3泊では7つの島をめぐるのは到底むりなので、小豆島・豊島・男木島に一泊ずつし、男木島から女木島にも足を伸ばしました。

いわゆるシルバーウィークの時で混み合っていましたが、天候にも恵まれ、デジタル一眼を抱えて歩き回ってきたので、写真と共に紹介したいと思います。
(ブログを書くまでにえらく時間がかかってしまったのは、この旅行から戻ってきてから先週までは、学校の課題に忙殺され、それ以外のことはほとんど手がつかなかったからです・・・)

小豆島

小豆島は夫と付き合い始めたばかりの夏休みに行ったのが最初で、それから2度ほど夏を過ごしに行きました。
海は本州と違って夏でも空いているし、のんびりした島の雰囲気や、魚介やそうめんがおいしくて、
私の大好きな島です。

今回は初めて海水浴をしない小豆島巡りでした。

芸術祭をやっている島の中でももっとも大きい島なので、アートのある場所も何箇所かに分かれていますが、会期中特別に巡回している「芸術祭線」というバスに乗ってまわれば、一日で十分見てまわることができました。(ちょっと疲れてしまって、最後に観ようと思っていた「宝船」だけは見ていないのですが…)

小豆島にあった作品はどれも良かったですが、特に圧巻だったのが王文志さんの「小豆島の家」。
田んぼの中に突如として現れる、巨大な竹のドームです。

稲刈りを終えた田んぼの左奥に見えるモスクの屋根みたいのが、「小豆島の家」です。
近づくととっても大きいです。

小豆島の家1

中に入るとこんな感じ。全部竹でできていて、隙間があるので明るい。

小豆島の家2

ドームの中は高床式の丸い部屋のようになっていて、そこで休むことができます。ちょっとした食べ物や飲み物を買うこともできたようです。
寝っ転がっている人が多くて、私もやってみたけど床も竹なので、背中が痛かった(^^;

この「小豆島のある家」があるあたりは棚田が有名なところで、他の作品も農村の風景を活かした物が多かったです。

あぜ道に立つ木に鳥の巣箱みたいなものが取り付けられていて、そこから向こうを覗くと…、という安岐里加さんの作品も良かったなぁ。

あと、忘れられない美しい作品がこの岸本真之さんの「つぎつぎきんつぎ」。

つぎつぎきんつぎ1

地域の住民に呼びかけて使われていない食器を集め、それを「金継ぎ」という手法で様々な形につなぎあわせて作られたオブジェ群。

つぎつぎきんつぎ2

円とか左右対称という形の美しさと陶器の色、金継の金色の美しさなどが迫ってきて、ずっと見ていたい感じでした。

豊島

豊島は島の大きさは小豆島に遠く及ばないものの、作品数がとても多く、しかも点在しているので、小豆島と同じように巡回バスがあったけれど全部は見切れませんでした。

観られなかったのは横尾忠則さんの作品と、オラファー・エリアソンさんの「ビューティ」、大阪芸術大学豊島アートラボの「ノリとたゆたう。」、クリスチャン・ボルタンスキーさんの「心臓音のアーカイブ」。とても残念…。

廻り切れなかった一因は、作品のひとつでもある「島キッチン」でランチをするために待っていた時間が長かった、というのがあります。
待つだろうな、と思ったので11時30分頃には行ったのですが、店に入れたのは1時間以上経ってから。

でも幸運にも縁側の席に案内してもらうことができて、お魚のランチもとってもおいしかったので、待ってて良かった。
それに、待っている間に観に行った近くの作品、藤浩志さんの「こんにちは藤島八十郎」というのが面白くて、それをじっくり観ることができたのが思いがけない収穫でした。

「こんにちは藤島八十郎」はいまいち面白さが伝わるものが撮れず、写真は割愛しますが、一軒の家と庭をまるごと使って、「藤島八十郎」という架空のおじさん(?)の住処を創作したものです。
八十郎さんは、地元豊島が大好きで、自分の家を彼が集めたり作ったりしたものを展示する博物館にして、地域活性に役立てようとしている、でも彼の発想はちょっとヘンで、色々思いつくんだけれどやりかけで止まっているものもたくさん…、という設定。
そこに八十郎さんはいないのだけれど、彼の作ったものや構想をメモしたものなど、そこここに彼の存在が感じられるものがあって、色々観察しちゃいました。人の家の中を見てまわる、あの楽しさといったら・・・。

下はスー・ペドレーさんの「ハーモニカ」。
これも使われなくなった民家を丸ごと使ったアートです。

ハーモニカ1

芸術祭は「こえび隊」というボランティアの方たちが運営に携わっていて、ここにもこえび隊の方がいらしたのですが、この作品を作るところから参加されていたそうで、その時の様子を色々教えてくれました。

この家は、誰も住まなくなって長い時間がたっていたけれど、色々な家財道具が残されていたそうです。
写真の色とりどりの布もこの家の中にあったもので、やはり残されていた食器を包んで、豊島の形に並べてあります。
アーティストのスーさんは赤が好きで、家全体が漁師さんが使う赤い網で覆われているのですが、その網もこえび隊のみんなで漁師さんに教わって編んだのだそう。

ハーモニカ2

こんな古いミシンとか、懐かしいものがいっぱい。
タイトルの「ハーモニカ」もこのうちに残されていたある家財道具に由来します。
それがなんなのかは、ぜひこえび隊の方に尋ねてみてください。

男木島

今回訪れた中で、一番好きな島。
アート作品も面白いんだけれど、それ以上に島の路地という路地がなんだか魅力的なのです。
『転校生』を始めとする大林宣彦監督の映画で有名な尾道の雰囲気が好きな人なら、きっと男木島が気に入ると思います。

島の面積は、豊島よりさらに小さいです。
だからアート作品も密集していて1日いれば気に入ったところを何度も再訪できるくらい。

路地1

こんな路地を歩いていると、次々にアート作品の展示場所にめぐり合う、といった感じです。

路地2

前日の「島キッチン」のランチも良かったのですが、男木島は「川島猛とドリームフレンズ」というグループの展示をしているところにある「ドリームカフェ」の「めおんバーガー」がとっても美味しかった!

めおんバーガー

「めおん」というのは女木島と男木島の「女(め)男(おん)」からとった名前でしょう。
中身は魚のすり身のフライ、エビ、卵、ハムなどなど。手作りの美味しさはもちろんのこと、外で海を見ながら、というのが最高。
私、翌日の昼もこれを食べてしまいました!

この島にあった作品は繊細で美しいものが多くてどれも好きだなぁ、と思ったのですが、特に印象に残った作品のは谷山恭子さんの「雨の路地」。

水がとっても貴重なこの島で、毎日一定の時間になったら雨を降らせる、というもの。島で呼びかけて集まった鍋やたらいや薬缶などなどが、アタマの上に貼り出してきている、その姿がとってもユーモラス。

雨の路地1

下には瓦が並べてあって、雨が降ったらそこに文字が浮き出て、島の人々の言葉が読めるようになっています。

雨の路地2

この作品は、島の3箇所にあって、それぞれ一日に何回か雨を降らせる時間が決まっています。
この写真の場所で雨が降る時間を待っていたら、ラッキーなことに作者の谷山さんにお会いしまいました。
作品のメンテナンスで、月に1回くらい島を訪れているそうです。

男木島の旅館に泊まりこんで島の人の話を聞いているうちに、「水」というキーワードが出てきたこと、作品を設置できる場所を探して回り、最終的に了解を得られたのが今の3箇所だったこと、元々は人が通る路地全体に雨が降るようにして、通過する人が使えるように傘を置いておく、という考えだったことなど、色々お話を聞かせてもらいました。
谷山さんがいないときに観に来た人たちが、「降らせる雨は水道水なんだろうか?」「きっとそうじゃない?」なんて会話をしてたのですが、谷山さんによれば、雨を溜めておいてそれを降らせるしくみになっていて、水が溜まらなければ時間になっても雨が降らない、と割り切った考えで作られたそう。
ただ、この芸術祭が始まってからは極端に雨が降らず、せっかく作ったのに雨を降らせることができなければおもしろくないだろう、という島の人の好意で、島民用の生活用水を使わせてもらっているのだそうです。

男木島では、「円」という旅館に泊まりました。

円1

「カラクリン」という作品(このブログ記事の冒頭の写真がそれ)の展示場所でもあるこの旅館、後で知ったのですが1日に一組しかお客さんを泊めない旅館で、かつ魚がおいしい人気旅館のようです。食事処としても人気で、特に芸術祭期間中のお昼の時間帯はとっても混むみたい。
確かに、今回の旅で一番贅沢でおいしい夕ごはんをいただきました。

円2

朝部屋の窓からは、港とジャウメ・プレンサさんの「男木島の魂」がよく見えましたよ(写真中央の白い屋根の建物)。

実は、私が男木島に行った4日後に火災があり、島の男性ひとりが亡くなり、大岩オスカールさんの作品「大岩島」の入っていた旧公民館が全焼、この旅館「円」さんも一部燃えたそうです。
「円」さんに展示されていた「カラクリン」は別の場所に移されたとのこと。

旅館の営業も一時お休みされたと聞きましたが、その後再開されたのかどうか…。
少しでも被害が少なく、また多くのお客さんを受け入れてくれることを祈ってます。
私、来年は芸術祭はやっていないけれどまた「円」に泊まりに行きたいです。

この火事で焼失してしまった「大岩島」も素敵な作品でした。

大岩島

旧公民館の建物の内部の壁と床にサインペンですごく細かい風景がが描かれてるのですが、それを左右の鏡が挟んでちょうど合わせ鏡になって、その風景がどこまでも続いているように見える作品でした。
この作品がもう存在しないなんて、切ないです。

女木島

男木島の隣にある女木島は、別名「鬼ヶ島」。桃太郎の話に出てくるあの「鬼ヶ島」です。

島の中央の山の上には「鬼ヶ島大洞窟」という洞窟があって、これは自然にできたものではなく人工物なのですが、いつ誰が作ったのかは分かっておらず、鬼たちの洞窟であると言い伝えられてきたそうです。

この洞窟の中にも芸術祭の参加作品であるサンジャ・サソさんの「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」という作品があるのですが、最初はあまり興味を持っていませんでした。
ですが、男木島の「円」で夕食を取っているときに一緒になったご夫婦に誘われて、翌日一緒に洞窟に行くことになりました。
お二人はヨットで男木島に来ていて、なんと翌朝ヨットで男木島から女木島に乗せてってくださると言われたので、洞窟よりもヨットに乗ってみたさでお誘いにのることにしたのです。

初めてのヨットでの瀬戸内海、風が強くて女木島に停泊してから少し酔いましたが、それまではとっても気持よかったです。
乗せてくださったNさん、ありがとうございました!

「鬼ヶ島大洞窟」は、鬼がたくさんいました。
嘘ではないです。洞窟はとても広くて、広間とか宝物の隠し場所とか監禁室とか、色々な部屋があるのですが、それぞれ説明書きの看板の他に、ちょっと古めかしい感じの鬼の人形が置かれてるのです。
洞窟の出口のところでは、桃太郎も登場し、鬼と笑顔で握手してました^^
そんな鬼たちと、今回新しく作られたアート作品はものすごくミスマッチで、不思議な感じ…。

洞窟の上には島の展望台があります。

展望台

これがすごく良い眺めで、ヨットに乗せてもらい、洞窟に来ることにして良かった!と心から思いました。

女木島も男木島同様、アート作品のある範囲は狭いのですぐに回れますが、「福武ハウス2010」という廃校になった小学校を利用した美術館があって、ここには結構な数の現代アートが展示されているので、特に映像作品などじっくり観ていると時間がかかります。

男木島に泊まる日、一通り男木島を観て回ってから女木島にも足を伸ばして、この福武ハウスにいたら男木島に帰る船に乗り遅れてしまいました。
もう一本後、18:30の船があったのですが、それを待っているうちにとっぷりと日が暮れて、人もほとんどいない寂しい状況に。

最後の写真は、船を待っている間に撮った、夕暮れ時の「カモメの駐車場」。木村崇人さんの作品です。
港にずらった並んだカモメは実は風見鶏。風によってみんな同じ方向を向いています。

カモメの駐車場

瀬戸内海3泊4日の旅は、歩いて、アートを鑑賞して、写真をとって、食べて、寝る、の繰り返しで現実を忘れ、とっても楽しかったです。
でも、旅先で出会う島の人達は結構疲れていたみたい。
宿泊所にしろ、売店にしろ、芸術祭が始まる前と後では、訪れるお客さんの数が100倍くらい違うでしょうから、疲れるのも無理はないです。
10月末までなので、この3連休はとっても混んで、またまた大変なんだろうな。

芸術祭なんてなければよかったのに、と思っている人もいるかもしれない。
でも、今回の作品は廃屋を利用したものが多くて、人が住まないで放置している場所があるなんて都会ではありえないなとびっくりしつつ、島の人口が減ってるんだろうということがうかがい知れました。

今現在は穏やかに暮らせているかもしれないけれど、このまま何もしなければ、本当に若い人がいなくなってしまうかもしれない。

詰めかける観光客のマナーが悪くて島の人たちに迷惑をかけるのはダメですが、今回のイベントで新しい出会いが生まれたり、私が男木島の大ファンになったようにアートだけでなく島の魅力も知られたりしているということが、今後プラスの方向に動いていくことを祈ります。

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